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国内で発売されてすでに四年、いずれニュー・モデルのデビューが課題とされていた。 その期待の星を両社のブランドのもとで販売しょうというわけだ。
ルノーにはいまSUVがない。 それだけに、ルノーサイドのディーラーにとっては、プラスアルファの余得となる。
これは、再編による特効薬である。 肝心の日本市場には、ルノーはどんな手を打っているのか。
これも当面の対策である。 まず、ライバンのカングー、ミニカーのツインゴ、スーパーミニのクオを導入するという。
すべて日産ブランドで販売されるかどうか、ルノー独自の販売店フランス・モーターズとのかね合いである。 このうち、クオはルノー卓のなかでも最大のベストセラー、九八年はヨーロッパでじつに四一万八六〇八台を売りまくり、同社の乗用車部門の販売増加に、もっとも大きく寄与した。
最激戦地といわれるスーパーミニ市場でも、フィアッ・プン、GM・コルサ、VW・ポロについで健闘をつづけている。 ツインゴは、クリオにくらべて九八年の販売は二〇万六一三七台と少ないが、それでもミニ・クラスではフードについで、二位を占めた。

あとにつづくのは、フィアット・チつわものンクチェン、ランチャ・イブシロン、フィアッ・パンダといった強者ばかりであった。 これらの車種が、日産ブランドをつけて登場する。
私見では、日産にも競合車があるし、日本ではルノー独自の販売網があることから、ルノー・ブランドで販売したほうがいいと思うのだが、日産販売店の再建にプラスするという意味からの選択なのであろう。 さらに、ルノー念願のアジア市場(日本を除)向けには、どんな商品戦略を展開するのか。
前述したように、ルノーが真にグローバル企業になるには、「非ヨーロッパ地域」で、販売の五〇%を達成しなければならない。 それが、アジアを中核とすることは、論をまたない。
そこをねらって、これまで開発をすすめてきたのが、二〇〇四年発売予定の六〇〇〇ドルカー″であった。 クリオ、ツインゴとは、ひと味ちがった実用性にふったアジア・カーである。
このカテゴリーの商品は、世界のグローバル化をめざす企業がどこも開発中である。 というより、すでに開発を終えて、試作車が各種の実験段階に入っているころであろう。
市販価格も、ほとんどみな六〇〇〇ドルていどである。 問題は、発売タイミングと販売戦略だ。
ようやアジアの不況も底をついてきた。 ただ、販売戦略では、ルノーのばあい、日産というアジアに根ざしたパーナーを得た。

これで、この″六〇〇〇ドルカー″の生産工場は、ルーマニアの自動車工場ダチア(Dacia)が予定されている。 なぜか。
コストが安いからである。 ダチアは、もともと政府が全株所有する公営企業だった。
一九九五年、民営化政策により四九%を市民に放出、いまは政府持ち株は五一%となっている。 その政府所有分を、三〇〇〇万ドル(約三六億円)で買収することを提案した。
その付帯条件は、買収する九九年に五〇〇〇万ドル、その後の数年間で三億ドルを投資することだった。 ルーマニア政府もこれを諒承、買収後、ダチアが利益を計上した年から五年間、法人税免除という特典を約束していた。
交渉期限は、四月一三日だった。 ところが、その期限がきたとき、ルーマニア側は、「あと六〇日間猶予がほしい」と回答してきた。
つけ加えていわく 、「ルノー側の提案は、買収価格を除いて、すべて諒承された」と。 要するに、価格引上げ要求が残されたのだ。
ダチアは、九八年決算で一六〇万ドルの利益を計上している。 国家所有基金の評価によれば、ダチアの資産価値は一億三二〇〇万ドルという。
その五一%としても、ルノー提案の三〇〇〇万ドルには、どうやら不満そうなのである。 たしかに、ダチアの工場用地はかなり広大らしい。

シュバイツァー会長も、「工場用地の広大なことは、魅力のひとつだ」といっている。 その用地をフルに使えば、年産五〇万台は十分にこなせる。
ただ、買収できたとき、当面は一〇万台が「穏当な目標」(シュバイツァー会長)という.とはいえ、会長の脳裏にはいずれ二〇l〇年には年産二〇万台、うち半数は輸出するという青写真も描かれているようだ。 というわけで、ダチア買収は、いまルノー側にボールが投げられた形になっている。
これをどういう形で返球するか、まだゆえはわからない。 ただ、シュバイツァー会長の構想のなかには、なにしろ″六〇〇〇ドルカー″という低価格商品であるだけに、人件費その他の物価指数の安い地で生産したいという気持ちがある。
それでなければ、アジア市場で競争力がなくなるからだ。 この車種はいずれ世界市場に売れるようになったとき、本格的にはブラジル新鋭工場にもっていくだろう。
ただし、これはまだ先のことだ。 その意味で、ルノーの低価格車種構想は、ダチアにかかっている。
そればかりではない。 二〇〇二年から三年にかけておそらくクリオと日産マイクラの次期車種はプラッフームを共用化するだろう。
その両車種の生産基地にもなりうる。 日産には、いま二六種類のプラッフームがある。
これを二〇〇〇年には一四種類に減らし、さらに二〇〇二年に一〇種類、究極的には六種類とすることも考えられる。 ルノーは、現行八種類、これを中期目標としては四種類にまとめる。

この計画は、提携前から予定されていたと思われるが、単純に計算すると、両社合わせて10種類となることは合意されている。 さらに、いま日産にはエンジン(ランスミッションつき)が二〇系列ある。
ルノーは七系列である。 これを調整して、最終的には八系列に統合する作業もすすめているという。
こうなると、エンジン・ユニットもかなりコスト・ダウンが期待される。 日産ルノー連合はまだ走りはじめたばかりである。
いまから将来像は描き切れない。 この大事業の前途は、いまなお流動的であり進行形であり、なおかつ当然のことながら、秘密のベールにおおわれている部分が多い。
一九九九年一月二八日、アメリカのフードは、スウェーデンのB社乗用車部門(B社カーズ)の株式を全株買収することになったと発した。 買収金額は、五〇〇億スウェーデン・クローネだった。
日本円にして約七八〇〇億円、ドルにすると六四億七〇〇〇万ドルである。 これは、八九年、フードがGMと激しく争ったジャガー株の買収金額(六〇億ドル)を上回る規模であった。
B社は、なぜ、フードと急接近したのか0B社には、つい一年前、強烈な思い出がある。 九八年六月二五日のことだった。
ヨーロッパ一位の乗用車メーカー、フルクスワーゲン会長F・ピエヒ氏が、スウェーデンのB社本社にヨハンソン社長を訪問した。 両社首脳は、再編問題について話し合った。
ダイムラー、C社の衝撃的な合併が発されて、まだほとぼりのさめないときであった。 この会談の事実が明るみに出たのが七月一日だった。

この日、株式市場ではB社株が八・〇%高騰し、VW株も四・〇%高となった。 株式市場は、二人が再編の話し合いをしたというだけで、好感したのである。
大衆車中心できたVWが、B社の高級車部門とくラック、バス部門といっしょになれば、文字通り、総合自動車企業としてヨーロッパの首位に立ちうるという夢があった。 ところが、このときB社社長は、「再編の意思は、まったくない」と、きっぱり否定した。
ピエヒ会長にしても、株式市場と同じように、B社との合併を夢みていた。

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